周年記念品を贈る相手と目的
周年記念品は、会社の創立や創業の節目を記念して贈る品物です。まず決めるのは、誰に何のために贈るかです。相手によって、選ぶ品物も予算も、税の扱いも変わります。
| 贈る相手 | 主な目的 | 選ぶときの考え方 |
|---|---|---|
| 社員・従業員 | これまでの働きへの感謝と、会社への愛着を深める | 全員が使えるもの、好みに左右されにくいもの |
| 社員の家族 | 日ごろ社員を支えてくれていることへの感謝 | 家族で楽しめる食品や、選べるギフト |
| 取引先 | これまでの取引への感謝と、これからの関係づくり | 先方の社内で分けやすいもの、格式が伝わるもの |
| 顧客・株主 | 感謝を伝え、会社を覚えてもらう | 少額でも記念として残るもの |
社員と取引先の両方に贈る会社も多くあります。その場合は、品物と予算を相手ごとに分けて考えます。同じ品物を全員に配ると手配は楽ですが、社員と取引先では喜ばれるものが違うからです。
周年記念品の目的をはっきりさせる
周年記念品の目的は、相手に感謝を伝えることです。そのうえで、社員向けなら会社の歩みを共有すること、取引先向けならこれからも良い関係を続けたいと伝えることが加わります。
目的がはっきりしていると、品物の選び方も決まります。たとえば社員に会社の歩みを伝えたいなら、品物と一緒に社長のメッセージや会社の年表を添える方が、高価な品物を選ぶより伝わります。取引先に感謝を伝えたいなら、担当者だけでなく先方の社内で分けられるものが喜ばれます。
何周年で贈るか
周年記念品を贈る年に決まりはありません。10周年・20周年・30周年のように10年ごとの節目に贈る会社が多く、5年ごとに贈る会社もあります。社員に贈る記念品を非課税にしたい場合は、税の要件として「おおむね5年以上の間隔」が関わります。詳しくは「社員に贈る記念品の税金」の章で説明します。
周年の数え方
周年は、会社を立ち上げた日から満何年たったかで数えます。「〇周年」と「〇年目」は数え方が違うので注意します。たとえば2016年に設立した会社は、2026年に設立10周年を迎えます。同じ2026年は「11年目」にあたります。
起点とする日も、会社によって違います。一般的には、事業を始めた日を「創業」と呼びます。会社を立ち上げた日は「創立」、法人の登記をした日は「設立」です。個人事業から法人にした会社では、創業と設立の年が離れていることがあります。どの日を起点にするかを、社内で先にそろえておきましょう。
周年記念品を準備する流れ
周年記念品は、式典やイベントと一緒に準備することが多く、思ったより時間がかかります。名入れの品物やオリジナルの品物を作る場合は、デザインの確認や製作にも日数がかかります。次の流れを目安に、記念日から逆算して進めます。
社内で決めておくこと
品物を選ぶ前に、次の点を社内で決めておきます。ここが曖昧だと、配る直前に対象者の範囲で迷います。
周年記念品の準備で決めておくこと
- 社員向けの対象者の範囲(正社員だけか、契約社員・パートタイム・役員も含めるか)
- 記念日の時点で在籍している人に限るか、退職予定の人や入社予定の人を含めるか
- 取引先向けは、どの範囲の取引先に贈るか(取引の金額や年数で線を引くか)
- 品物を渡す場(式典・朝礼・郵送)と、渡す日
- 品物に添える社長のメッセージや挨拶状の内容
- 記念品の費用を、どの勘定科目で処理するか
記念品のほかに行う施策と組み合わせる
周年の記念には、記念品のほかにもさまざまな施策があります。記念品だけで会社の節目を伝えようとすると、品物の金額に頼ることになりがちです。ほかの施策と組み合わせると、予算を抑えても記念の意味が伝わります。
| 施策 | 内容 | 記念品との組み合わせ方 |
|---|---|---|
| 記念式典・社内パーティー | 社員や取引先を招いて節目を祝う | 式典の場で記念品を手渡しする |
| 記念ロゴ・スローガン | 周年のロゴや、これからの方針を言葉にする | 記念品やメッセージカードにロゴを入れる |
| 社史・記念誌 | 会社の歩みをまとめる | 記念品と一緒に配り、歩みを共有する |
| 記念サイト・社内報の特集 | 社員や取引先の声を集めて紹介する | 記念品の案内を載せ、受け取り方を伝える |
式典やイベントと合わせる
周年の式典や社内イベントを開く場合は、記念品の準備を式典の準備と同じ予定表で管理します。式典で手渡しするなら、会場に品物を運び込む日と、受付で渡す段取りも決めておきます。式典に出られない社員や取引先には、後日届ける方法を用意しておきます。
周年記念品の予算の決め方
社員向けと取引先向けで分ける
周年記念品の予算は、社員向けと取引先向けに分けて決めます。社員向けは全員に同じ金額の品物を贈るのが基本です。取引先向けは、取引の深さに応じて金額に差をつけることもあります。
百貨店の法人向けギフトの解説では、社員向けは1,000〜3,000円が多いとされています。取引先など社外向けは3,000〜5,000円が目安です。社員向けの記念品を非課税にしたい場合は、金額にも気をつけます。国税庁は、創業記念品が非課税になる条件の一つとして、処分見込価額が1万円以下(税抜)であることを挙げています。社員向けの予算は、この金額を上限の目安として決めると扱いやすくなります。
全体の予算を見積もる
予算は、相手ごとの人数と1件あたりの金額を掛け合わせて見積もります。次の表は、社員100人と取引先60社に贈る場合の設計例です。
| 贈る相手 | 件数 | 1件の金額 | 小計 |
|---|---|---|---|
| 社員 | 100人 | 3,000円 | 300,000円 |
| 取引先 | 50社 | 5,000円 | 250,000円 |
| 特にお世話になっている取引先 | 10社 | 10,000円 | 100,000円 |
| 合計 | 650,000円 |
実際の金額は、会社の規模や記念の節目に合わせて決めてください。このほかに、名入れの版代やのし・包装の費用、配送料がかかることがあります。見積もりを取るときは、品物の代金だけでなく、これらの費用も含めた総額で比べます。
節目ごとに金額を変えるか
10周年・20周年・30周年と節目が上がるにつれて、記念品の金額を上げる会社もあります。ただし、社員向けの記念品は、毎回の節目で非課税の条件を満たすかを確かめる必要があります。節目が大きいほど金額を上げたくなりますが、社員向けは1万円以下(税抜)の範囲で品物の質を上げる方が、税の扱いで迷いません。
周年記念品の種類と選び方
種類ごとの特徴
周年記念品の主な種類と、向いている相手を比べると次のようになります。社員向けの税の扱いは、次の章で説明する条件を満たした場合のものです。
| 種類 | 向いている相手 | 良いところ | 注意すること | 社員向けの税の扱い |
|---|---|---|---|---|
| 名入れグッズ(タンブラー・時計・文具など) | 社員・取引先 | 記念として形に残る | 最低個数と製作の日数、好みに合わないと使われない | 条件を満たせば課税されない |
| お菓子・食品 | 取引先・社員の家族 | 分けやすく、好みが分かれにくい | 賞味期限と、渡す日までの保管 | 条件を満たせば課税されない |
| 本人が選べるギフト(カタログギフトなど) | 社員・取引先 | 年代や好みが違っても外れない | 受取期限を伝える | 品物の価額が給与として課税される |
| 体験ギフト・招待 | 社員 | 思い出に残る | 日程や地域で使えない人がいる | 内容によって変わる |
| 商品券・現金 | 社員 | 使い道を本人に任せられる | 記念品らしさが出にくい | 給与として課税される |
名入れグッズを選ぶ場合
名入れグッズは、会社名や周年のロゴを入れて、記念として形に残せるのが良いところです。一方で、注文できる最低個数(最低ロット)が決まっていることが多く、デザインの確認や印刷にも日数がかかります。人数が少ない会社では、最低個数に合わせて余分に作ることになる場合もあります。
もう一つの注意点は、ロゴの入れ方です。会社名やロゴが大きすぎると、受け取った人が普段使いしにくくなります。ロゴは小さめに入れるか、箱やメッセージカードに入れて、品物そのものは普段使いできるデザインにすると使ってもらいやすくなります。
社員向けの選び方
社員向けの記念品は、年代や家族構成が違っても使えるものを選びます。タンブラーや文具、上質なタオルなどの日用品は定番です。ただし、すでに持っている人も多いので、喜ばれるかどうかは品物の質で決まります。
社員の好みを優先したい場合は、本人が選べるギフトが向いています。社員数が多い会社や、拠点が分かれている会社でも、品物の好みで外れることがありません。ただし、本人が選べるギフトは給与として課税されるため、次の章を読んでから決めてください。
在宅勤務の社員や離れた拠点の社員がいる場合は、届け方も考えておきます。品物を送るなら配送先を集める必要があり、個人の住所を扱う手間もかかります。
取引先向けの選び方
取引先向けの記念品は、先方の社内で分けやすいものが喜ばれます。個包装のお菓子やコーヒー、日持ちする食品は、受け取った会社で配りやすい品物です。特にお世話になっている取引先には、品物に社長の挨拶状を添えて、担当者が直接届けると気持ちが伝わります。
取引先によっては、社内の規程で贈り物の受け取りを断っている会社もあります。また公務員など、立場によって贈り物を受け取れない相手もいます。贈る前に、担当者を通じて受け取れるかを確かめておくと、先方を困らせません。
予算帯ごとの選び方
同じ周年記念品でも、予算によって選べる品物の幅が変わります。次の表は、予算帯ごとに選びやすい品物の例です。
| 予算(1件あたり) | 向いている相手 | 選びやすい品物 |
|---|---|---|
| 1,000〜3,000円 | 社員・顧客・式典の参加者 | 名入れの文具やタオル、個包装のお菓子 |
| 3,000〜5,000円 | 社員・取引先 | 上質な日用品、お菓子やコーヒーの詰め合わせ、選べるギフト |
| 5,000〜10,000円 | 社員・特にお世話になっている取引先 | ブランドの日用品、グルメの詰め合わせ、選べるギフト |
| 10,000円以上 | 特にお世話になっている取引先 | 高級グルメ、格式のある品物、選べるギフト |
社員向けの記念品を非課税にしたい場合は、1万円以下(税抜)に収まるよう予算を組みます。取引先向けの高価な記念品は交際費になるため、会社の交際費の予算もあわせて確かめておきます。
節目ごとの考え方
10周年は、会社が一つの区切りを迎えた節目です。社員と一緒に歩みを振り返る意味が強く、社員向けの記念品に力を入れる会社が多くあります。創業期から支えてくれた取引先には、感謝の挨拶状を添えて記念品を贈ると気持ちが伝わります。
20周年・30周年と節目が大きくなるほど、取引先や地域とのつながりも広がっています。記念品の対象を、社員の家族や長く付き合いのある取引先まで広げる会社もあります。50周年・100周年のような大きな節目では、記念誌や式典と組み合わせて、会社の歴史を形に残す記念品が選ばれます。
失敗しやすい記念品
周年記念品で失敗しやすいのは、受け取った人が使い道に困る品物です。会社の記念であることを伝えたい気持ちが強すぎると、相手の使いやすさが後回しになります。
周年記念品で避けたいもの
- 会社名やロゴが大きく入っていて、普段使いしにくいもの
- 置き時計や盾など、置き場所に困る大きな品物
- 香りの強いものや色の好みが分かれるもの
- 賞味期限が短い食品(渡す日までの保管と、受け取った後の消費が難しい)
- お酒(飲まない人や、受け取りを控える人がいる)
記念品を選ぶ前に、過去に贈った品物の評判を社内で聞いてみましょう。ほかの会社から受け取った記念品で困ったものを聞くのも、外れを減らす助けになります。
ロゴ入りのカタログギフトを選ぶ場合
社員にも取引先にも好みに合った品物を届けたいなら、ロゴやメッセージを入れたオリジナルのカタログギフトも選択肢になります。名入れグッズのように品物そのものにロゴを入れるのではなく、ギフトを開いた画面にロゴとメッセージが出るので、会社からの記念品であることが伝わります。
PsyPre for Business では、ロゴとメッセージを入れたカタログを無料で作れます。カタログ価格は1,000円から40,000円(税込)まで500円刻みで設定でき、1部から注文できます。社員向けと取引先向けで金額を変えたい場合は、カタログを複製して価格や掲載商品を変えれば、相手ごとのカタログを用意できます。